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The Compass2005年7月号の記事抜粋

  ソフトCAとSTB市場の解放

  2005年4月のThe Compassで書いたようにFCCはMSOに対しコンディショナルアクセス(CA)機能を内蔵したSTBの提供を禁止する期日を2006年7月から2007年7月へ延期した。この延長はMSOがダウンローダブルなソフトウェアCAの開発期間として求めていた。

  CAをSTBから分離する方法としてはOpenCable規格のCableCARDが開発されており,すでに家電メーカーが単方向対応のCableCARDを搭載した,テレビ,STBを発売している。CableCARDはMSOの競合研究開発機関であるCableLabsが開発した物だが,MSOはこれは高価なソルーションだとしてその採用を嫌っており,代わりのソフトウェアベースのCAシステムの開発を始めている。

  MSOはNGNA(Next Generation Network Architecture)の一環としていずれは現在のアナログとデジタルのハイブリッドなネットワークからフルデジタルのネットワークへ移行をする。フルデジタルのシステムへの移行する場合,全ての加入世帯のテレビにデジタルセットボックス(あるいはデジタルケーブル対応のTV)が必要になる。これは大きな設備投資である。CableCARDのコストは現在80ドル程度である。出荷台数が増えれば,コストは下がるであろうが,ハードウェアベースのソルーションは高価であり,今後必要とされる低コストSTBにはCableCARDは適切ではないとMSOは考えている。

  ソフトウェアCAはCAのコードをヘッドエンドからSTBにダウンロード可能にする事で1996年の通信法で決められたSTBとCAを分離するとの条項を満たすものであり,すでにCableLabsで開発が始まっている。ソフトウェアベースのCAと言っても100%ソフトウェアではない。STBのプロセッサー上でCAを走らせることは可能であるが,これはハックされる可能性があり,セキュリティーの問題があり,専用セキュリティープロセッサーを使うことになる。MSOはFCCに対してソフトウェアCAの実現性を実証する必要があり,このためにはすでに製品化されている技術(多分,ドイツのInfineon Technologiesの物)を使うが,実際に市場で使われSTB向けには複数の会社のCAに対応可能なオープンソースのセキュリティープロセッサーが開発される。

  ソフトウェアCAはハードウェアコンポーネントが少ない分,STBのコストが下がるが,本当の目的は別にあるとも見られている。現在,CAはMotorolaのMediaCipher,S-AのPowerKEYが独占している。CAがSTBにハードワイアされているので,CAの独占とはSTBの独占でもある。現在の環境ではどちらかのCAを一度採用したら,他のベンダーへの移行はフィールドにあるSTB全ての交換を意味し,容易には行えない。マーケットシェアの多い,Motorolaは特にそのCAのライセンスを限定する事でその地位を守ってきた。

  しかし,この戦略にはすでに終わりが見え始めている。S-Aはデジタルオーバーレイと呼ばれるMotorolaのMediaCipher環境で同時にS-AのPowerKEYを採用したCAを採用する事を可能にする技術を開発し,TWCがその導入テストを行っている(The Compass 2004年5月,7ページ)。また,SonyはPassageと呼ばれる同時に複数のCAを走らせることを可能にする技術を提供しており,Charter Communicationsはこの導入を決定している。(The Compass 2005年5月,6ページ)。

  ソフトウェアCA環境では新たなCAをダウンロードする事でSTBの交換無しで,CAを交換する事が出来き,CAによるSTBの独占は不可能になる。CAのライセンス料はSTBあたり,20ドルと言われており,MSOはCAの独占環境を無くし,Motorola,S-Aに対してライセンス料を値下げさせることが,ソフトCAの本当の狙いだと思われる。

  Motorola,S-AのCAのライセンスがオープンになり,さらにNagravison,NDS等の他のCAの採用が容易になる事で,これまで参入はほぼ無理だと言われてきた米国のSTB市場が開放化に向かう事になる。Comcastが英国のSTBメーカーのPaceと契約をしたのもこの前兆である。

  Motorolaもこの動向は理解している。同社とComcastの契約(The Compass 2005年3月,4ページ)にある次世代のCAの開発する会社はソフトウェアCAとそのプロセッサーを開発する事が目的である。ハードウェア(STB)の製造が低コストベンダーに移されても,CA,それに今後STBに採用されるホームネットワークのプロセッサー(Ucentricの買収,The Compass2005年2月,6ページ)等のコアライセンスを押さえていくことでその地位を保持して行く考えである。

  ソフトCAはCableCARDには良いニュースではない。すぐにソフトCAが登場する訳ではなく,CableCARDの採用はしばらくは続く。しかし,FCCがソフトCAを認めた場合,MSOに対するCableCARDの採用の義務は無くなる。もし,MSOがCableCARDを採用する義務が無くなれば,CableCARDを使うのは家電メーカーの製品のみとなる。採用される製品が少なければCableCARDの値段は高価なままであり,普及はさらに難しくなる。

  

 

目次

   トップニュース

  • ソフトCAとSTB市場の解放

  規制/市場環境

  • NABとCEAの言い争い

  • 無料のデジタルTVコンバーターを求める消費者団体

  • ケーブルフランチャイズ改正法案

  • 自治体ブロードバンドの論争

  • 最高裁はケーブルモデムの解放を却下

  TV&デジタル放送

  • Nielsenのトラブル

  • TWCがデジタルサイマルキャストを開始

  • 先進的なIPTV

  • ComcastとSonyのネットワーク

  双方向/VOD

  • MovieLinkがホテルでサービスを開始

  • ComcastがStarzとVOD契約

  ハードウェア/ソフトウェア

  • BTがMicrosoftのIPTV Editionを採用

  • CharterがPowerKEYのMoxiを採用

  • EchoStarがArchosと契約

  • MotorolaがMoxiと契約

  • ビデオ電話Ojoの販売が始まる

  ブロードバンド

  • QwestがWiMAXを計画

  • DSL値下げ

  • Adelphiaが16Mbpsのサービスを開始

  • SprintがEV-DOを開始

  データ&統計

  • DOCSIS,eMTAの出荷が500万台越える

  • 下がるケーブルモデムのシェア

  • 地上波STBの出荷予測

11/28/2006 アップデート