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The Compass2006年11月号からの記事
関心を集めるBroadLogicのTeraPix
ケーブルTV事業者の最大の悩みはいかにしてアナログ放送を止め,100%デジタルに切り替えるかである。現在のケーブルTVはアナログとデジタルのハイブリッドであり,地上波再送信と基本的なケーブルチャンネルはアナログで放送し,それ以上のプレミアムチャンネルをデジタルで放送している。アナログチャンネルは全体の帯域の半分近くを占め,伝送効率は悪い。しかし,米国で販売されているテレビはアナログケーブル放送に対応しており,アナログで放送していればベーシックなサービスのみに加入している世帯ではSTBは不要であり,デジタルサービス加入世帯でもその全てのテレビにSTBを設置する必要は無く,コストは安い。しかし,いつまでもアナログで放送を続ける訳にはいかない。電話事業者の光ファイバーに対抗するサービスの提供にはより多くの帯域が必要であり,それはアナログ放送を終わらせることで得られる。さらにアナログ地上波放送は2009年2月に終了し,それ以後もアナログケーブル放送をするのであれば,デジタル放送をアナログ変換して放送する必要が出てくる。
ケーブルTV事業者がアナログ放送を止めるには,その加入者が持つ全てのTVにデジタルSTBを付けなければならない。アナログケーブルTVの加入者数はまだ3000万世帯以上ある。1世帯には数台のテレビがあり,STBの1台のコストは$100はするので,そのコストは膨大な物になる。いかに安い値段でSTBを作れるかが課題であった。
BroadLogic社のビデオプロセッサー,TeraPix
BL80000はこの大きな問題に新しい解決方法を提供出来ることで大きな話題を集めている。10センチ四方程度のTeraPixは80チャンネルのMPEG-2をいっぺんにアナログ信号に変換する事が出来る。ケーブルTV事業者はTeraPixを内蔵したゲートウェイをアナログケーブルTVサービス加入者宅の外に取り付ければ,このゲートウェイがベーシックチャンネルをアナログに変換して宅内に送る。工事は家の外で済み,アナログサービスへの加入世帯はSTB等の新しい機械を触ることなく,同じようにサービスを受け続ける事が出来る。特定のチャンネルは変換せずに,そのままデジタルで流すことが出来るので,プレミアムサービスのチャンネルを見たければ,必要なテレビだけにデジタルSTBを取り付ければ良い
問題はTeraPixを使ったゲートウェイのコストである,サンプル出荷では1つ$300ドルもするが,大量生産が始まれば値段は下がる。1台のゲートウェイのコストが現在のSTB程度で出来れば,十分であろう。このコストを回収するためにアナログサービスの値段を上げる必要があっても,1つの家庭に数台のSTBを設置する事と比べれば,問題は少ない。また,利用者に取ってもSTBを使わなければならないことは面倒であり,STBが不可欠なDBS,IPTVとの競合で有利になる可能性もある。
しかし,課題も多く残っている。デジタル移行の際には大量のTeraPixゲートウェイが必要となり,それを各世帯に取り付けていくのは簡単ではない。家の外に取り付ける事で,STBの様に家庭に入らなければならない工事より簡単ではあるが,ゲートウェイは厳しい環境に耐える設計になっている必要があり,これはコストを高くする。また,電源をどこから取るかも問題である。外に取り付ける場合,家の中から電力を取ることは簡単に出来ない,同軸ケーブルで信号と同時に電力も送る方法も提案されているが,これも安全性等の面から課題がある。
しかし,TeraPixはデジタルからアナログへの変換をそれぞれのTVで行うのではなく,ゲートウェイとして一カ所で行うと言う新しい可能性をもたらせている。BroadLogic社はサンノゼに本社を持ち,約30人が勤務している。2回のベンチャー資金で合計3200万ドルを得ており,ベンチャーキャピタル以外ではCisco,Intel,Time
Warner等の会社が投資を行っている。
深まるTiVoの問題
TiVoは新しいブロードバンドサービスを発表し,また,DVRを使った新しい広告サービスも発表した。TiVoの新しいProgram
Placementサービスは録画されたTV番組の再生の後,TV画面に広告ビデオを見る,割引クーポンを得る等のオプションを表示する物で,Burger
King,General Motors等が参加している。しかし,TiVoの経営状況は良くない。同社は第3四半期の財務報告を発表し,赤字が減っている事をアピールしたが,アナリストは売上げが予想以下であり,また,成長の兆しが無いことを問題視している。
TiVoの第3四半期の新規契約者は10,1000であったが,48,000のチャーンがあり,実質の加入者の増加は53,000でしかない。TiVoの加入者はTiVo直接が160万,DirecTVが280万で,合計440万となっている。第3四半期の売上げは5260万ドルで,予想された5500万ドルを下回っている。
クリスマス商戦で売上げの増が期待されるが,これまでの販売台数は予想以下と言われている。これに対して,TiVoは大幅なリベートを発表した。定価240ドルの80時間バージョンは70ドル,定価350ドルの180時間バージョンは170ドルで販売されるが,これで十分な売上げが確保出来るとは思われない。売上げを伸ばすにはDirecTVに代わる多チャンネル事業者との関係が必要である。TiVoはComcastとCoxと契約があるが,どちらも既存のMotorola
STB上で走る様にTiVoのソフトウェアのポートが条件である。ベータソフトは完了し,2007年には提供が開始すると発表されているが,ソフトウェアにはまだバグが多く,本格的な導入が出来るのは2007年末から2008年になってしまうとの噂もある。収入の可能性としてEchoStarに対する訴訟に勝った場合の賠償金があるが,この裁判もすぐにはけりが付かず,上訴裁判になる事が必然で,決着が付くには早くて12ヶ月はかかると思われる。
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