コードカッティングは始まっているか?

The Compass12月号からの記事です。

1960年代にケーブルTVサービスが始まって以来、多チャンネルサービスへの加入者数は増え続けてきた。DBS、電話事業者等の競合が登場する事で、ケーブルTVへの加入者数は減少をしているが、多チャンネルサービス全体での加入者数は増加をしてきた。加入率が80%を越えることで、成長率は下がっているが、加入者数は増えていた。

しかし、SNL Kagen社の統計によると2010年の第2四半期に多チャンネル市場は216,000世帯を失い、第3四半期にはさらに119,000世帯を失った。これが、インターネットでのビデオ配信が増えた事によるコードカッティングであるのかが大きな議論になっている。

コードカッティングとは、コード(ケーブルTVの線)をカットする(切る)事で、本来はケーブルTVを止める事を意味しているが、現在は多チャンネルサービス全体に対して使われている。特に、インターネットで配信されるTV番組(あるいは同等のプログラミング)を見るのが増えた事で、多チャンネルサービスが不要となり、止める事がコードカッティングと呼ばれている。

多チャンネルサービスには、地上波再送信から有料チャンネルまで、様々なプログラムがあるが、もし、NetflixのWatch Instantly、Amazon on Demand等の利用が、多チャンネルサービスに影響を与え始めているのであれば、CM無しで、映画を主体に放送している有料チャンネルに最初の影響が表れるはずである。有料チャンネルのHBOへの加入者は昨年の同期から150万の減少をしており、コードカッティングの徴候に見える。

しかし、多チャンネル事業者は、加入者は減っているが、これは不況による物で、コードカッティングの影響である事を否定している。HBOの親会社のTime Warnerも、HBOの加入者減少の理由は、Dish Networkが行った無料プロモーションが終了した事で、コードカッティングではないと説明している。多チャンネル事業者、それに多チャンネルサービス向けに番組を提供している事業者は、コードカッティングが始まったと思われることを恐れている。不況による加入者の減少は一時的な物で、回復の可能性があるが、コードカッティングは、根本的な構造の変化を意味している。もし、コードカッティングが進もうとしているのであれば、多チャンネルサービスの地位が衰退している事であり、広告プラットフォームとしての重要性が減っている事を意味する。

ComScoreによると、2010年10月の時点で、アメリカのインターネット利用者の84.1%にあたる1.75億人がインターネットでビデオを視聴し、月平均視聴時間は15.1時間であった。インターネットビデオの視聴は増えているが、ケーブルTV業界のマーケティング組織のCTAM(Cable Telecommunications Association for Marketing)はそれがTV視聴の減少につながっていることを否定している。同組織の発表したレポートによると、インターネットで配信されているビデオをTVを使って見ている人の84%は、インターネットで配信されるビデオを見ることでこれまでのTV放送の視聴は減っていないと答えている。また、インターネットビデオの視聴者の94%は多チャンネルサービスにも加入しており、多チャンネルサービスからの脱退を考えているのはたったの3%だと、このレポートは報告している。

Harris Interactive社が10月に行ったオンライン調査によると、過去6ヶ月間で、回答者の22%がケーブルTVのサービスを安いパッケージにしたか、あるいは脱退したと答えている。サービスを止める、あるいは安いパッケージに移行する可能性が最も高い年齢層は34歳から45歳で、その率は28%であった。しかし、この調査ではその理由が不況なのか、あるいはインターネットビデオの普及であるのかは分からない。

現在の多チャンネルサービス加入者の減少がコードカッティングの始まりであるかは、不明瞭だが、コードカッティングへの徴候は確実にある。Horowitz Associates社の統計では、ビデオ視聴が可能なポータブルデバイス(ノートPCを含める)の保有率は人口の78%に達している。18歳から34歳では保有率は84%、15歳から17歳では94%であった。同社によると、ブロードバンド利用者の25%は、毎日、あるいはほぼ毎日、TV番組をPC、あるいはハンドヘルドデバイスで視聴している。さらに、iPad、タブレットの普及はこの傾向を加速させる可能性がある。The Diffusion Group(TDG)社が行った調査では、iPad利用者の33.9%はこの先6ヶ月間で、有料TVの利用を止める可能性がある答えており、12.9%は非常に高い確率で有料TVを止めると答えている。

理由が何であっても、加入者の減少は多チャンネル事業者、特に減少が激しいケーブルTVに取り深刻な問題である。Time Warner Cableはさらなる加入者の減少を防ぐために、より安いプログラミングのパッケージをテストする。現在、地上波再送信と基本的な多チャンネルネットワークで構成される拡張ベーシックは月額$50から$60であるのに対して、新しいTV Essentialと呼ばれるパッケージは$30~$40で提供される。価格を安くするためにチャンネル数は少なく、外されているチャンネルには加入者毎のライセンス料が最も高価なESPNが含まれてる。

 

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