カテゴリー: ‘ニュースとアナリシス’ のアーカイブ
TiVoのケーブルTV市場戦略
ケーブルTV事業者のRCNは、ニューヨーク、ワシントンDCに続き、ボストンでもTiVoのデジタルケーブル対応のDVRの提供を開始した。今後RCN は、シカゴ、フィラデルフィア、ペンシルバニアのシステムでもTiVoのDVRを提供していく。RCNは競合通信事業者として、スタートした事業者で、光 ファイバーを豊富に使った高速のネットワークを売り物にしており、TiVoの持つ、TVにインターネットビデオを加える機能を生かす事が出来る。また、第 8位のケーブルTV事業者で、150万世帯の加入者を持つSuddenlinkも第4四半期から、TiVoのPremiere DVRを提供する事を発表した。
減少が続くインターネットビデオ視聴
インターネットビデオの視聴が減少し始めた事を2010年5月号で記事にしたが、この動きは一時的な物では無く、その後も続いている。
ComScoreが発表している月間のインターネットビデオのストリーム本数では2009年の332.4億本をピークに減少をしており、2010年4月では303.2億本に減っている。ユニーク視聴者数は1.7億から1.8億の間で、減少はしていないが、増えてもいない。
新FCC
米国上院議会はFCCの新委員長としてオバマ大統領が指名したジュリアス・ジェナコウスキー氏を承認した。上院議会はまた2009年6月で任期が切れた共和党のロバート・マクダウェル氏をFCC委員に再承認した。FCC委員は大統領が指名し、上院議会が承認し、5年の任期がある。5人の委員の内、3人以上は同じ政党からではいけない。委員長代理であったマイクル・コップス氏は2009年12月まで任期が残っている。ジョナサン・アデルスタイン氏(共和党)も12月までの任期だが、Rural Utilities Service局長に任命されている。アデルスタイン氏の後任としてはアットウェル・べーカー氏が指名されており、もう1つの民主党席にはメリデス・クライバーン女史が指名されており、上院の承認をまっている。
マルチルームDVR
一台のDVRに録画した番組を別の部屋にあるTVで視聴することを可能にするマルチルームDVR(あるいはホールハウスDVR)は2005年頃に登場し始めた。2005年1月にはTime Warner CableがCisco(当時S-A)の製品を使った市場テストを発表し、BendBroadband(オレゴン州)、Sunflower Broadband(カンザス州)はその4月にDigeoのマルチルームDVRの採用を開始した。同年にDBS事業者のDISHもマルチルームDVRの提供を始めた。
当時のマルチルームは伝送にRFを使った物であったため、HDには対応出来なかった。多チャンネルサービスの事業者はHD化に熱心になり始め、HDに対応出来ないマルチルームDVRでは無く、HD対応のDVRの導入に力を入れ、マルチルームDVRはポピュラーにならなかった。唯一、DISHが1台のSTB(DVR)で2つの部屋のTVに番組を配信する方法としてアナログRFベースの製品を採用し続けた。
アナログ停波: アップデート
すでに2月17日、あるいはそれ以前に641局がアナログ停波を完了させており、今後、1085局がデジタル移行を完了させる必要がある。FCCはその内の158局が、新しい期日である6月12日以前にアナログ停波を行うことを申請していると発表している。FCCはそれぞれの申請を検討し、その許可を行うかを決定する。次にアナログ停波が可能になる日程は4月16日で、158局中の75局程度がこの日にアナログ停波を行うことを希望している。
2月17日のアナログ停波
アナログ停波は6月12日に延期になったが,数多くの局が予定通りに2月17日に停波を行った。FCCは17日にアナログ停波を希望する放送局は2月9日までにFCCに申請をする事を命じた。これに対して、491の局が停波の申請を提出した。FCCはその内、368局の停波を認めるが、123局に対してはその停波は問題をきたす可能性があるとして一時、拒否をする。これら局の停波を全て認めた場合、主要な放送局の全てが停波される地域が出てくるからである。
FCCは主要な放送局が全てアナログ停波希望している地域にスタッフを派遣し、放送局と協議を行った。この結果、一部の局はアナログ停波の延期をする、あるいは停波後もアナログで公共メッセージを流す事を了解し、最終的にFCCは421局に対して、アナログ停波の許可を与え、これらの局は2月17日にアナログ放送を終了させた。先行テストを行ったウィルミントン、環境上の理由で停波を早めたハワイ等を含め、すでに220の局がアナログ停波を行っており、2月17日で、641局、全米の放送局の36%がデジタル移行を完了させた事になる。
アナログ停波の延期
オバマ大統領は就任以前から2月17日のアナログ停波の期日延期を勧めていた。延期論が強くなったのは1月に入り、DTVクーポンの予算がつきたとの発表があってからである。
12月に入り、DVTクーポンの申請が大きくと増え、National Telecommunications & Information Administration(NTIA)は1月5日に予算分のクーポンの発行が終わった事を発表する。DTVクーポンの総予算15億ドル中、実際のクーポンの予算13.4億ドルであり、この予算分のクーポンが発行された時点で、新たな発行は出来なくなる。後は90日間の有効期限のあるクーポンの失効を待ち、発行が行われることになる。これ以降の申請は待ち名簿に記入され、失効したクーポンが出た時点で発行されることになる。このため、1月に入ってからクーポンの発行のペースは大きくと減っている。1月末で、DTVクーポンの待ち名簿の長さは330万に達している。
自動車向けモバイル放送
2009年は自動車向けモバイル放送にとり、重要な年になる。自動車向けのオプションとして、後部座席向けのビデオモニターとDVDプレーヤで構成されるRSE(Rear Seat Entertainment)システムがポピュラーになっており、この市場に向けた放送サービスに関する関心が非常に高まっている。
現在のサービスとしては、自動車向けの衛星ラジオ事業者のSirius XMがSirius Backseat TVと呼ばれる、子供向けの3つのチャンネルで構成される放送サービスを月額$7ドルで提供している他、DirecTVが月額$50のTotal Choice Mobileを提供している。Backseat TVは既存のSiriusラジオのアンテナと$300ドルのチューナで受信出来るが、DirecTVを車から受信するには、$3000する、車の幅近くある円盤形のアンテナとチューナを購入する必要がある。
3つめのオプションとして、AT&TとRaySat Broadcasting社は2009年春にAT&T CruiseCastと呼ばれる自動車向けの多チャンネルサービスを立ち上げる事を発表している。CruiseCastはIntelsatの衛星トランスポンダーを使い、22のテレビチャンネルと20の音楽チャンネルを提供する予定である。サービスの価格は月額$28だが、アンテナとレシーバは$1300と高価である。衛星放送を途切れなく、受信するには通常は地上リピーターを設置する必要があるが、CruiseCastは3分間のバッファーを使い、トンネル等の衛星からの電波が届かない状況でも放送が途切れないように対応をする。
CruiseCastは主要な多チャンネルネットワークのDisney Channel、Nickelodeon、Comedy Central。USA、MSNBC等を提供すると発表しているが、その契約はまだ完了していない。ドライブ時間が長い、アメリカでは子供達を静かにさせておくためにRSEは効果のある物であるが、その為にどの程度の人が月額$28ドルのサービスに加入するかは不明である。CruiseCastのアンテナはDirecTV向けのKVH Industriesが提供する物より、小型で、安いが、それでも$1300もする。
携帯電話向けのモバイル放送を行っているQualcommのMediaFLOもRSE向けのサービス参入を行っている。MediaFLOは12月にその為のテストを行った事を発表した。テストはトヨタとの協力でサンディエゴで行われた。MediaFLOはこのテストにより、現実的な環境で、移動中の車の中から高画質映像を途切れなく受信する事が可能であったと発表した。そして、同社はCESにおいて、Audiovox社をパートナーとして、自動車向け市場に参入する事を発表した。AudiovoxはMediaFLOのサービスを車から受信する為のアフターマーケット向けのレシーバーを提供する。チャンネルラインアップ、料金等は発表されていない。現在、MediaFLOはAT&TとVerizonが月額$15で、10から15チャンネルのサービスを提供している。
アナログ停波の話題
FCCの提案を受け、NBC Universal、ION、Telemundo、それに非営利放送局の協会、Association of Public Television Stationsのメンバー局が中心となり、アナログ停波のテストを全米の主要な地域で行う。このASO(Analog Shut-Off)の最初のテストは10月28日の午後5:59から6:01まで行われた。これに続き、1分間の停波が12月2日にワシントンDCとロサンジェルスで行われ、2つの30分の停波が12月3日にハートフォード(コネチカット)で行われれる。その後、サンフランシスコ、フィラデルフィア等の地域でも同様のテストが実施される。多チャンネル放送での再送信の殆どはデジタル信号を受信をして行われているので、これらアナログ停波の影響はほぼ無く、ASOテストでTV番組が視聴出来なるのはアナログTVで、アナログ放送を直接受信している世帯である。ASOテストは本当の「アナログ停波」では無く、アナログ放送では「停波」の時間帯にはデジタル移行に対応方法に関するメッセージが放送される。
多チャンネルTV広告への期待
広告市場を調査しているNielsen Monitor-Plusによると、不況を受け、2008年前半の広告市場規模は前年比で1.4%減少した。TV広告全体はほぼ横ばいであったが、地上波ネットワークの広告は6%の減少をした。TV広告の中で大きく増えたのはケーブル(多チャンネル)ネットワークで、8.1%の増加をした。シンジケートされているTV番組に対する広告も7.2%と増え、スペイン語番組の広告も4.5%の増加をした。ケーブルTVを含めた多チャンネルサービスの広告の増加は継続しているトレンドであり、注目されている。ケーブルTV業界はその広告プラットフォームを最先端な物にする為に、Canoe Ventureと呼ばれる会社を設立している(2008年7月「Microsoft社のNAVIC買収の背景」参照)。