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モバイル放送は成功出来るか
DRIテレコムウォッチャー from USA (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.74)
調査会社のJuniper Research社は、 モバイルTVの世界市場は2009年の32億ドル規模から、2015年には70億ドルに達するとの予想を発表した。モバイル放送を立ち上げようとしている アメリカの放送局にとって、良い予想のようだが、Juniper Research社は現在のモバイルTVの市場のほとんどは、モバイルデータ通信回線を使ったストリーミングであり、専用帯域を使ったモバイル放送の視聴 者はわずかだと報告している。このトレンドは、今後も続き、モバイルTVの主体はストリーミングのままで進むと予測している。
2009年7月6日号目次
ニュース&アナリシス
- アナログ停波が完了
- 新 FCC
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AT&T CruiseCastがサービス開始
AT&TとRaySat社が共同で提供する自動車向けモバイルTVサービスのCruiseCastが6月2日にスタートした。CruiseCastはIntelsat Galaxy 25衛星を使い320×240の解像度のビデオをH264を使い、500 kbpsで放送する。受信には小型アンテナのRaySat T7が使われる。アンテナとレシーバーのセットは$1,299で、22チャンネルのサービスは月額28ドル。製品はアフターマーケットとして販売され、自動車メーカーとのOEM契約はまだ無いが、レンタカー会社のAvisとBudgetがCruiseCastのレシーバーを搭載した車を貸し始める。
チャンネルはUSA Network, Sci Fi Channel, Discovery, Animal Planet, CNN Mobile, Comedy Central Mobile, Adult Swim Mobile, Lifetime Channel, NFL Network, MSNBC, Fox News, AccuWeather, ESPN Mobile, Disney Channel, Disney XD, Discovery Kids, Cartoon Network Mobile, CBS College Sports Network, MTV Mobile, Nickelodeon Mobile, Noggin それにThe N。自動車向けのモバイルTVサービスとしてはSirius XMがあるが、数チャンネルしか提供されていない。
AT&T CruiseCastがベンダーを発表
自動車向けのモバイルTVサービスを立ち上げるAT&TとRaySatのCruiseCastはそのサービス提供に採用するサービスと機器ベンダーを発表した。衛星事業者はIntelsatで、ST Electronicsが見通し線が遮られる問題に対応する技術を提供する。車内レシーバーはHyundaiが提供し、NDSがCAS、ミドルウェア、インテグレーションサービスを提供する。ビデオエンコーダーにはHarmonicが採用される。車載アンテナは当然、RaySat社製である。
AT&TはCruiseCastのサービスとして、Disney Channel, Toon Disney, Discovery Kids, Animal Planet, Nickelodeon, Cartoon Network Mobile, USA, Comedy Central, MSNBC, CNN Mobile Live, CNBCを含む22のビデオチャンネルと20のラジオチャンネルを提供する。
2009年中に63局がATSC M/Hを開始
地上波を使ったモバイル放送の促進団体のOpen Mobile Video Coalitionは2009年中に全米22地域で63の放送局がATSC M/Hを使ったモバイル放送を開始する事を発表した。63局には14のNBC系列、9のABC系列、9のCBS系列、5のFox系列、9のION Television局、4のCW系列局、4のMyNetwotk Television系列局、それに9のPBS局が含まれる。
CESの期間中、ラスベガスではABC、NBC、Fox、PBS、CW、それにケーブルTVネットワークのCNBC、Fox News、Qubo、Cool TVの9チャンネルがATSC M/Hで放送される。これは9つの局から放送されるのでは無く、Sinclair Broadcastが保有するKVCW、KVMYがその空き帯域を提供し、9つのチャンネルを放送する。どちらも放送はSDで行っており、2局を合計し、15 Mbps近い容量が空いている。
MediaFLOは大きな拡大を予定
2009年にはATSC M/Hを使ったモバイル放送が開始されるだけでなく、QualcommもMediaFLOの大きな拡大を予定している。MeidiaFLOは全米で、そのモバイル放送を行うライセンスを得ているが、隣接したチャンネルでアナログTV放送が行われている地域ではサービスを提供する事が出来ていない。MediaFLOは来年のアナログ停波が完了した、2~3ヶ月後にはボストン、サンフランシスコ、マイアミ、ヒューストンでサービスを開始させる予定。MediaFLOは2008年末で、63都市、人口1.4億をカバーし、2009年末には100都市、2億人のカバーまでに広げる予定。
MediaFLOのサービスは現在、VerizonとAT&Tが提供をしている。月額約$15で、CBS Mobile、ESPN Mobile TV、Fox Mobile、Fox News、NBC 2Go、CNBC、MSNBC、Comedy Central、MTV、Nickelodeon等、12のチャンネルを提供している。チャンネル容量としては22チャンネル分あり、現在、期限限定でFood Network、Victoria’s Secret TV等の放送も提供している。また、Qualcommは今年の700 MHz帯域の競売で、ボストン、LA、NY市、フィラデルフィア、サンフランシスコの地域で、新たな6 MHz帯を得ている。
OMVCがモバイルTVのテストを予定
米国の800以上の地上波放送局が加入している、地上波を使ったモバイルTVの普及を目標とした団体のOpen Mobile Video Coalitionは、デジタル放送規格協会ATSCとの協力で、秋に新たなモバイル放送のテストを行う事を発表した。OMVCとATSCはATSC M/H(Mobile/Handheld)としてモバイル放送の規格を遅くても2009年第2四半期までに決めようとしている。OMVCは今年の春にラスベガスとサンフランシスコで、規格の候補になっているLG/Harris、Samsung/Rhode & Schwarz、それにThomson/Micronasの3技術のテストを行っており、この秋のテストは実際の利用者を含んだ最終的なテストになる予定。テストが行われる地域はまだ発表されていない。
MHPとA-VSBが協力
地上波デジタル放送の一部としてモバイル向けの放送を行う規格の標準化をATSCで行っており、その有力候補はLGとHarrisのMPH、それにSamsungとRohde & SchwarzのA-VSBであるが、5月にLGとSamsungは統一規格の開発に合意した事を発表した。2社はMSTV(Association of Maximum Service Television)がそれぞれの規格のテストを行い、そのテストの結果を基に統一した規格を作り、ATSCに提出する。
ICOもモバイルTVを狙う
ICO Global Communicationsはその大規模衛星のG-1の打ち上げに成功した。G-1は高さ27フィートの衛星で、40フィート近いアンテナ、幅100フィートのソーラーパネルを持つ巨大な衛星で、元は音声とブロードバンド通信を提供する為に開発されてきた。しかし、Iridumを含め、衛星を使った音声とブロードバンドサービスを狙った事業は失敗した。ICO Globalは計画を変更し、この衛星を使い、DVB-SH(DBV-Satellite services to Handheld)ベースのモバイルTVサービスを提供する事になっている。まだ、ICOは衛星通信の穴を埋める為の1500~2000の地上トランスミッターを設置する必要があり、サービスが開始出来るのは2009年になる。QualcommのMediaFLOが大きな競合であるが、ICOは携帯電話の様な小さな画面ではなく、500 kbpsのチャンネルを生かし、より大きな画面を持つ自動車エンターテイメント市場を狙う。ICOの衛星は双方向機能を持ち、自動車向けにインタラクティブなナビゲーション機能を提供する事も出来る。ICO Global、それにWiMAX事業者のClearwireは共にクレイグ・マッコウの会社であり、ICOとClearwireはICOの衛星通信とCleawireのWiMAXを使ったハイブリッド・システムの開発も検討している。
モバイル放送の技術テストが完了
地上波放送局が作ったモバイル放送を推進するための団体、Open Mobile Video Alliance(OMVA)は3月と4月にラスベガスとサンフランシスコでATSCの規格候補の技術のテストを行った。ATSCのM/H(Mobile/Handheld)規格としてはSamsungとRohde & Schwartzの開発したA-VBS、HarrisとLGのMHP、それにThomsonとMironasが共同開発した技術が争っている。個々の技術の結果は発表されていないが、OMVAモバイル放送の電波は約40マイル届き、既存のTV放送への干渉は全くないと発表している。OMVCは今年の夏の終わりか、秋に実際のユーザを使ったマーケット・テストを行い、どの様なサービスとして提供するかを調査する。最初の時点では地上波放送と同じ番組を流すが、将来的にはケーブルTVネットワークのプログラミングを放送する、有料コンテンツを放送する等も検討されている。