DTAへの期待
The Cable Showのもう1つの話題はDTA(Digital-To-Analog Boxes)であった。DTAとは米国政府が配っている$40クーポンで購入出来るATSCのデジタル地上波放送をアナログTVで視聴可能にするDTVコンバーターと同じ様な物で、違いはATSCチューナの代わりに、デジタルケーブルのチューナが付いている事である。デジタルケーブルTVで配信する番組をアナログ変換して見えるようにするコンバーター・ボックスである。ベーシックなデジタルSTBとの大きな違いは、EPG、VOD、プレミアムチャンネルへの対応等の機能をカットし、DTVコンバーターの様に数十ドルで製造出来る物である。The Cable ShowではSTBベンダーのMotorola、Cisco、Thomson、Pace、それにEvolution Digitalと言う会社がDTAを展示していた。
ウィルミントン市がデジタル移行をテスト
FCCは2009年2月17日のアナログ停波に先駆け、ノースカロライナ州のウィルミントン市において今年の9月8日にアナログ停波を行うことを発表した。月曜の昼にウィルミントン市の6つの局の内、公共放送のUNV-TVを除く5局はアナログ放送を終了される。同市には16.8万のTV視聴世帯があり、TV市場としては210地域中135の規模になる。同市の11,746世帯は地上波のみでTVを受信している世帯であり、これら世帯がどの様にアナログ停波に対応し、アナログ停波後にどの様な問題が出るかを調べることで、2009年2月17日に備える。UNV-TVがそのアナログ放送を続ける理由は9月からハリケーンの季節に入り、非常時に備えて、1つのアナログ放送を残しておくため。
Akimboが閉鎖
Akimboはその社員の大半を解雇し、インターネットTVのサービスを閉鎖した。Akimboは1999年に設立され、独自のSTBを使ったインターネットTVのサービスを2004年に開始した。STBは$200で、サービスは月額$10であった。その後、STB無しでPCでサービスを受けることも可能にしたが、加入者を伸ばすことは出来なかった。2007年にはSTBを使ったサービスを辞め、今年の2月には外部向けのコンテンツ配信サービスを行うと発表していた。Akimboはこれまでに4700万ドルの投資を得ており、現在、新たな投資を得るか、あるいは会社を売る事で、事業を再開しようとしている。
MHPとA-VSBが協力
地上波デジタル放送の一部としてモバイル向けの放送を行う規格の標準化をATSCで行っており、その有力候補はLGとHarrisのMPH、それにSamsungとRohde & SchwarzのA-VSBであるが、5月にLGとSamsungは統一規格の開発に合意した事を発表した。2社はMSTV(Association of Maximum Service Television)がそれぞれの規格のテストを行い、そのテストの結果を基に統一した規格を作り、ATSCに提出する。
CiscoとMotorolaがDCAS開発の主導権を取る
ケーブルTV事業者のComcast、Cox、Time Warner CableはSTBのコストを高くするCableCARDに代わるダウンローダブルCAS(DCAS)を開発する為のジョイントベンチャー、PolyCipherを設立しているが、その規模は減少され、開発はCiscoとMotorolaに移管され始めている。FCCはSTBへのCAS内蔵を禁じ、CASはCableCARDとして別途提供する事を命じているが、ハードウェアでCASを提供する事は高価になるとして、ケーブルTV事業者はCASをソフトウェアとしてSTBにダウンロード出来るDCASの開発を始めていた。最初は既存のCASを提供するCiscoとMotorola等のベンダーから独立してDCASの開発を行っていたが、PolyCipherのスタッフは半分の5人に減り、開発の主導権はCisco、Motorolaに移っている。
The Compass 2008年5月号目次
ニュース&アナリシス
- NAB Showの進化
- 脚本家ストライキのインパクト
- 誰でもがスポット広告を買える? 続きを読む »
Pivotが解消になる
Comcast、Time Warner、Cox CommunicationsはSprint NextelとのジョイントベンチャーのPivotを解消した。PivotはSprint NextelとケーブルTV事業者4社(前記の3社とAdvance Newhouse)が作ったジョイントベンチャーで、ケーブルTV事業者がSprintの携帯電話サービスをMVNOとして再販するだけでなく、モバイル電話とケーブルTVのサービスの融合を目指していた。しかし、携帯電話の再販以上のサービスの登場は遅く、進歩はほとんど無かった。しかし、これでケーブルTV事業者がモバイル電話市場への参入を諦めた訳ではない。ComcastはPivotの解消とほぼ同時に新しい無線サービス部門を設立し、Telefonica O2の元CTOのDave Williamsを迎えた。これらケーブルTV事業者は共同でSpectrumCoとして2006年のAWSオークションで帯域を得ている(SpectrumCoには最初、Sprintも参加したが、後日脱退した)。さらに、Coxは1月の700 MHzオークションでも帯域を購入しており、ケーブルTV事業者は自らモバイルサービスに参入する姿勢を示している。
地上波を使った新サービス
Sezmi(セズミー)は地上波を使った新しいマルチチャンネル・ビデオサービスをこの夏から開始すると発表した。地上波デジタル放送の空き容量を使ったサービスはこれが始めてではない。地上波局はそれぞれ、19.4 Mbpsの伝送容量を持っているが、HD放送でもこれを全て使うことは無く、SDだけであれば、約15 Mbpsのあまりがある。US Digital Television社(USDTV)は地上波放送局と契約し、これら放送局の空いた容量を使い、主要なケーブルTVチャンネルを有料で提供するサービスを2005年末に開始した。月額20ドルのサービスはソルトレーク市,ダラス,ラスベガス,アルバカーキで提供されたが、十分な加入者を得ることは出来なく、2007年4月に同社は倒産し、サービスは閉鎖になった。Sezmiの基本的なビジネスモデルはUSDTVと同じであるが、伝送にはブロードバンドも加えている。そのFlexCastでは、生放送、あるいは視聴率の多い番組は地上波で放送するが、視聴者の少ない番組とVODはブロードバンドで配信する。 続きを読む »
ICOもモバイルTVを狙う
ICO Global Communicationsはその大規模衛星のG-1の打ち上げに成功した。G-1は高さ27フィートの衛星で、40フィート近いアンテナ、幅100フィートのソーラーパネルを持つ巨大な衛星で、元は音声とブロードバンド通信を提供する為に開発されてきた。しかし、Iridumを含め、衛星を使った音声とブロードバンドサービスを狙った事業は失敗した。ICO Globalは計画を変更し、この衛星を使い、DVB-SH(DBV-Satellite services to Handheld)ベースのモバイルTVサービスを提供する事になっている。まだ、ICOは衛星通信の穴を埋める為の1500~2000の地上トランスミッターを設置する必要があり、サービスが開始出来るのは2009年になる。QualcommのMediaFLOが大きな競合であるが、ICOは携帯電話の様な小さな画面ではなく、500 kbpsのチャンネルを生かし、より大きな画面を持つ自動車エンターテイメント市場を狙う。ICOの衛星は双方向機能を持ち、自動車向けにインタラクティブなナビゲーション機能を提供する事も出来る。ICO Global、それにWiMAX事業者のClearwireは共にクレイグ・マッコウの会社であり、ICOとClearwireはICOの衛星通信とCleawireのWiMAXを使ったハイブリッド・システムの開発も検討している。