加熱するスマートTV OSの戦い

スマートTVの利用が進む中、スマートTV向けOSの戦いが熱くなっている。8月にTiVoがTiVo OSをVestel社にライセンスしたことを発表したのに続き、SamsungもODM(Original Development Manufacturers)のAtmaca、HKC、それにTempoと契約し、Akai、RCA、Bauhn、Vispera等のブランドからTizenを採用したスマートTVがオーストラリア、イタリア、スペイン等で発売する。LGは一足早く、2021年にWebOSのライセンスを開始しており、RCA、Konka等ブランドからWebOS搭載のスマートTVが販売されている。

GoogleのAndroid TVが世界的には最も多くの会社がライセンスしているコネクテッドTV(CTV)向けOSである。しかし、アメリカではRokuがもっとも利用されているCTVで、AmazonのFire TVが2位である。

NetflixもNielsenを採用

11月3日に広告付きNetflixのサービスがアメリカ、UK、日本等12カ国で開始になった。広告付きが加わるのは最も安いBasicプランで、広告無しは$10、広告付きは$8になる。これは12月8日に開始になるDisney+の広告付きの$9よりも$1安い。Basicプランの解像度はこれまでは480pであったのが720pに引き上がるが、同時視聴は1ストリームで、広告付きプランではダウンロードがサポートされていない。また、広告付きプランでは一部のコンテンツ(5%から10%程度)が契約上視聴出来ないが、Netflixはコンテンツ保有者と交渉中であり、その数は減っていくと発表している。

なせ、AVODの利用が増えているのか

FASTを含めた無料のAVODサービスの利用が増えている。TiVo Q2 2022 Video Trend Report(https://bit.ly/3SbsDIQ)によると、無料のサービスを含め、利用されているビデオ・サービスの数は2021年Q4では8.88個であったのが、Q2では9.86個へと増えている。有料サービスは6.53個から6.73個へとわずかに増えただけだが、無料のサービスは2.35個から3.13個へと増えた。61%の利用者は最低でも1つのAVOD/FASTサービスを利用していると答えている。広告に対する態度としては22.7%は「嫌い」、58.3%は「容認出来る」、19.1%「好き」で、5分の4は広告を大きな問題にしていない。無料のビデオ・サービスを使う理由としては70%以上が「無料だから」と答えており、圧倒的に多い。

進歩のないコンテンツ発見方法

VODの最大の問題はコンテンツの発見である。大量のコンテンツへのアクセスがあるのは良いが、いかに見たいコンテンツを見つけるのかが問題である。知っているコンテンツであれば、検索出来るが、知らないコンテンツにいかに巡り合うのかが特に大きな課題である。Netflixはコンテンツのメタデータを細分化し、レコメンデーションの効率を高めた。AIにより、さらに細かいメタデータを付けることも可能になっている。しかし、レコメンデーションを使うのにはそのサービスのアプリを立ち上げる必要がある。主要なサービスがNetflix、Amazon Prime VideoとHuluの時代であれば、それは大した問題ではなかった。Netflixで見たいコンテンツがなければ、Hulu、あるいはAmazon Prime Videoを試せはよかった。