Peacockのオリンピックでの成功

NBCUniversalのパリ・オリンピックの視聴者数は全プラットフォーム合計での東京オリンピックよりも82%の増加で、パリ時間のプライムタイム(アメリカの朝)とアメリカのプライムタイムにおける視聴者は3060万人であった。NBCUはパリ・オリンピックの放送に地上波のNBC、多チャンネル向けネットワークのUSA Network等、スペイン語地上波ネットワークのTelemundo、SVODサービスのPeacockを総動員した。

多チャンネル向けチャンネルの今後

多チャンネルサービスの加入者が減り、多チャンネル向けネットワークの収入も減っている。以前は、エミー賞受賞作品の多くは多チャンネル向けネットワークの作品であったが、現在では多チャンネル向けのドラマの制作は殆ど無くなり、スポーツ、リアリティー番組、それにドラマの再放送になっている。放送を終了したチャンネルもあるが、まだ200以上が存在している。しかし、その存在を脅かす動きが8月に2つあった。1つは多チャンネル向けネットワークの価値が下がっていることで、Warner Bros. Discovery(WBD)は$91億、Paramount Globalは$60億の減損損失をした。

SonyがParamountを買わない理由

SonyはParamount Globalの買収を一度はオファーしたが、両社はフィットしてないとの理由で再提案を行わないことを明らかにした。実際にParamount GlobalとSony Pictures Entertainment(SPE)の戦略は大きく異なる。Paramount Globalはコンテンツの制作だけでなく、配信事業も持つ、垂直統合を目指した会社である。これと反対に、SPEは「Arms Dealer(武器商人)」とも呼ばれる、自らは配信事業を持たずにコンテンツの制作に特化する道を選んでいる。

CTVベンダーの勢力

コネクテッドTVを所有している世帯は増えてきたが、2020年では視聴するサービスの主体はまだ、多チャンネルであった。Hub Entertainment Researchの2020年の調査では52%が多チャンネルサービスがメインだと答え、ストリーミングがメインだと答えた人は40%であった。2022年にはストリーミングが52%、多チャンネルが48%になり、2024年では60%がストリーミングになっている。これはストリーミングへのシフトだけでなく、CTVのユーザインタフェースの持つ力を拡大させている。

衛星放送は無くなるのか

1994年に衛星による多チャンネルサービス(Direct Broadcasting Satellite = DBS)が開始され、DirecTVとDish Networkが、地域的には独占事業であったケーブルTVの大きな競合になった。DirecTVはケーブルTVより多くのチャンネルとサービスを