ComcastもケーブルTV離れ

多チャンネルサービスへの加入者が減る中、いくつかの小規模なケーブルTV事業者はケーブルTVサービスから撤退し、ブロードバンドに専念をしている。中小ケーブルTV事業者の団体のACA Connectsも、これまでの会員条件はケーブルTV事業事業者のみであったが、ケーブルTVを止める事業者が出ていることから、ブロードバンド事業者も会員に受付ている。

ケーブルTV最大手のComcastもブロードバンドへの加入者はケーブルTV加入者の1.5倍になり、主軸はブロードバンドになっている。しかし、ComcastはまだケーブルTVサービスを切り捨てることは出来ない。それは、ブロードバンドサービスでは付加収入を得る機会が少ないためである。ケーブルTVでは事業者と加入者の関係が近く、様々な付加収入の機会がある。ケーブルTVサービス自体でも有料チャンネル、PPV、VOD等の収入オプションがある。さらに、ケーブルTV加入者にスマートホーム、モバイル通信などの他のサービスの販売も出来る。多チャンネルサービスの加入者は減っても、加入者から得る収入は多い。

NBCUniversalのPeacockがスタート

7月15日にComcast/NBCUniversalのPeacockが正式にスタートした。これまでは、プリビューとして、ComcastのX1とFlexの利用者だけに提供されていた。Peacockの基本は広告付きの$5のサービスで、X1とFlexの利用者にはこれが無料で提供される。その他に広告無し($10)とコンテンツ数が約半分の無料版もある。無料版があることからアプリのダウンロード数は順調で、Sensor Towerによると、iOSとAndroid向けアプリは1週間で150万のダウンロードがり、7月末の時点で1000万人の登録があった。モバイル端末以外、ウェブ、それにX1、Flex、Android TV、Chromecast、Apple TV、Xbox、PlayStation 、それにVizioとLGのスマートTVでサービスが利用可能だが、AT&TのHBO Maxと同様にコネクテッドTVデバイスとしては利用者数が1位と2位のRokuとFire TVはサポートされていない。

強気のRokuとFire TV

PeacockもHBO Maxと同様にRokuとAmazonとの契約をする事が出来なく、ストリーミング・プレーヤの1位と2位のサポート無しでスタートをする事になった。以前はRokuはもっとも契約がしやすいストリーミング・プレーヤで、利用出来るサービスが多かったことでポピュラーになった。しかし、アメリカで最大のストリーミング・プレーヤとなり、設置されたデバイスからの収入(プラットフォーム収入)が売上の主体になることで契約条件は厳しくなっている。Rokuの大きなプラットフォーム収入は広告である。Rokuは広告配信のサービスを持ち、広告があるサービスからは広告インベントリーの30%程度を求めている。

スポーツ中継のOTT化

アメリカではスポーツコンテンツをストリーミングサービスとして提供することは進んで来なかった。DAZNも参入しているが、格闘競技が主体である。DAZNが他の競技の配信を得られないのは、TVネットワークが買い占めているからである。スポーツは多チャンネルサービスで最も重要なコンテンツである。スポーツ専門チャンネルはDisneyのESPNだけでなく、NBC Sports、Fox Sports、CBS Sports等もある。また、スポーツ専門では無いが、Turner系チャンネルもバスケットボール等に力を入れている。

CBRS競売がスタート

Citizens Broadband Radio Service(CBRS)は3.5 GHz帯の150 MHzの帯域(3550 MHz~3700 MHz)で、その70 MHzが優先アクセス(Priority Access)ライセンス(PAL)として7月23日から競売が始まった。CBRSは主に海軍がレーダーと通信に使っている帯域の一部である。

CBRSの仕組みはユニークである。海軍は既存の利用者としCBRS帯域を利用する権利があり、利用する際は他の利用者をシャットアウトする事が出来る。しかし、日常的には使われていなく、また、海軍の利用は基本的に西と東の海岸線地帯に限られており、それ以外の地域で使っていない。CBRSの約半分の70 MHzはPALとして、10 MHzブロック毎に群単位(全米で3,233郡)で競売される。1事業者は1つの郡で、最大4つのライセンス(40 MHz)を落札出来る。