CharterがATSC 3.0を批判

ケーブルTV事業者のCharter CommunicationsはFCCとのミーティングでATSC 3.0を批判した。CharterによるとATSC 3.0の欠点は後方互換性が無いこと、多チャンネルサービスでの再送信規格が無いこと、そしてその機能はすでにIPで提供されている事で、成功の可能性は低いと結論をした。

ATSC 3.0には後方互換性が無いので、ATSC 3.0を採用する放送局は同じ地域のATSC 1.0で放送する局と契約し、サブチャンネルで1.0での放送を続ける必要がある。ATSC 3.0での放送を多チャンネルサービスで再配信する為の規格は存在していないので、多チャンネルサービス事業者は3.0での放送を再送信することは出来ず、放送局から光ファイバーで配信されるATSC 1.0での放送を再配信することになる。Charterによるとサブチャンネルでの放送は解像度が低くなり、光ファイバーに障害が起きた場合のバックアップには使うことが出来ないことが問題になる。

OTT視聴時間が130%増加

Convivaの「State of The Streaming TV Industry Q2 2019 」(http://bit.ly/2KNCHXv)によるとOTTビデオの視聴時間は前年同期比で130%増えた。視聴デバイス別ではコネクテッドTVでの視聴時間は143%増え、1位であった。モバイルでの視聴は109%増で2位、3位は75%増で、コンピュータであった。コンテンツがオンデマンドの場合、成長率は全体で155%で、デバイス別ではそれぞれ、149%、122%、157%であった。ライブでの配信では成長率は93%とオンデマンドより低く、デバイス別ではそれぞれ、133%、86%、19%であった。ビデオ視聴の占めるオンデマンドの比率は2019年Q2では66%で、2018年の59%から増えている。


Conviva

重要になるOTTビデオ広告

OTTビデオの開始時点では広告収入でのビジネスは成り立たなかった。OTTにはアドレッサブル機能があるとは言っても、OTTビデオの利用者数は少なく、その殆どはTVも見ているので、OTTビデオで広告をする必要性はなかった。しかし、状況は大きくと変わっている。前記のようにOTTビデオの視聴は大きくと増え、リーチは人口の56%に達している。さらに需要なことは、テレビ放送を受信していないブロードバンドだけの人口が11.3%になっている事である。これらの人にはTV広告ではリーチすることが出来ない。

AT&T TVがスタート

AT&Tが同社ビデオサービスの馬車馬になると言っているAT&T TVがカリフォルニアのオレンジ郡等の10地域でスタートした。AT&T TVはOTTベースのサービスであるが、スキニーなパッケージではなく、既存の多チャンネルサービス同等のパッケージであり、専用のSTBも必要になる。

最も安い「Entertainment」パッケージは月額$60だが、2年目からは$93に値上がりする。次の「Choice」は$65で、MLB Network、Tennis Channel等スポーツ系のチャンネルが増え、地域スポーツネットワーク(RSN)も含まれるが、RSN料は別途$8.50請求されるので、実際の価格は$73.50である。もっと高い「Ultimate」は$80で、2年目からは$135である。料金はDirecTVと同じであるので、料金を低くしている他のOTTベースのサービスとは違う。パッケージの料金はDirecTVと同じだが、AT&T TVにはNFL Network、それに一部の地上波局の再送信も無いので、実質的には高価である。これらのチャンネルは正式な全米でのローンチ時には加わると思われるが、AT&Tからの発表は無い。料金にはクラウドDVRが含まれ、500時間の録画が出来るが、録画された番組は90日後に自動的に消却されてしまう。