AdImpactによると、2024年の選挙広告の額は$110.7億であった。既存のテレビ放送が70%を占めているが、4年前は僅かであった、CTVが大きく成長し、14%に達している。選挙広告だけでなく、選挙結果の視聴にも大きな変化があった。Nielsenによると、投票当日の東部時間19:00から23:00時の開票速報番組の総視聴者数(地上波と多チャンネル向け18ネットワークの合計)は4229万人で、4年前の5692万人から26%もの減少であった。世帯数では2845万で、1960年以来の最低数であった。
テレビ局所有規制の緩和は必要か
政権交代による放送業界への大きなインパクトとしてM&Aの増加とテレビ局所有規制の緩和がある。放送事業、特に多チャンネルサービスは縮小しており、統合が必要になっている。Dish NetworkとDirecTVは合併し、Comcastは多チャンネル・サービス向けネットワーク事業をスピンオフした。政権交代により、司法省、FCC、FTCのトップが変わることで、大規模なM&Aが可能になると予想されている。地上波放送局所有会社のM&Aもまた盛んになる可能性がある。数年前には多くの地上波所有会社の買収があったが、今は静かになっている。これは放送局の所有規制により、これ以上の統合が困難になっているからだ。
ComcastがMVPDネットワークを分離
Foxには先見の眼があった。2019年にFoxはスポーツとニュース以外の多チャンネル(MVPD)向けネットワークをDisneyに売った。コードカッティングにより多チャンネル・サービスは視聴者を失っている。最近、Paramount GlobalはMVPD向けネットワークに対して$60億の減損処理を行い、Warner Brothers Discoveryは$91億をライトオフした。そして、11月にComcastはMVPD向けネットワーク事業を切り離すことを発表した。
多チャンネルサービス: 減少が弱まる
9月になり、NFLシーズンが始まったことでコードカッティングは減り、Q3の減少はQ1の226万アカウント、Q2の158万アカウントより大幅に少ない85万アカウントとなった。既存型サービスの加入者は145万アカウント減ったが、vMVPDは60万アカウント増えた。Q3の減少はQ1、Q2よりも少ないが、前年同期の27万アカウントよりも多く、コードカッティングのトレンドが衰えている訳ではない。CharterとComcastの加入者はぞれぞれ29万アカウントと37万アカウントの減少で前期の41万と42万よりも少なかった。しかし、DirecTV加入者のロスは30万から35万へと増えた。これはDisneyとの再送信交渉での争いで、ESPNを含む、Disney系チャンネルを一時失ったことが影響している。
DTC: NBCU以外は黒字達成
Netflixの加入者数の増加は前期からも少なかった。US/カナダの加入者の増加は前期は145万人であったが69万人に減り、世界全体では805万人から507万人に落ちた。加入者数はUS/カナダが8,480万人、世界で2億8272万人になった。しかし、多くのTVネットワークのDirect-to-Consumer(DTC)サービスは加入者増加数が前期より増えた。特に好調であったのがPeacockで、オリンピックのお陰で加入者は300万人増え、3,600万人になった。Paramount+は世界で400万人の増加があったが、前期に300万人を失っているので、Q1からの増加は100万人でしかない。