多チャンネルサービスの料金が増えてきたのはチャンネル(多チャンネル向けネットワーク)が増え続けたからである。デジタル化で多くのチャンネル提供が可能になり、多チャンネル事業者は200チャンネルが見られるサービスを視聴者に約束した。ネットワーク会社はチャンネルを増やしたが、コンテンツ制作には限度があり、急速にチャンネルを増やすことは出来ない。そこで生まれたのが姉妹チャンネルである。例えば、子供向けチャンネルのNickelodeonにはNick 2、Nick Jr.、Nicktoon、TeenNick、NickRewind等が出来た。姉妹チャンネルはメインのチャンネルの番組の再放送、あるいはそこでヒットしたコンテンツをベースにした番組を制作することで、安いコスト、素早く、数多くのチャンネルを作る事が出来た。
DisneyのFox資産買収は必要だったのか
2019年3月にDisneyはFoxの地上波ネットワークと多チャンネル向けネットワークのFS1、FS2、Fox News等を除いた資産を$713億で買収した。買収した主要な資産は:
- 映画スタジオ: 20th Century Fox、Fox Searchlight Pictures
- 多チャンネル向けネットワーク: FX、FXX、FXM、National Geographic等
- Star India: 70以上のTVチャンネル、ストリーミング・サービス
- Huluの株33%
- Fox Sports Network: 地域スポーツ・ネットワーク
放送局への再送信料は増えるか
大手放送局所有会社のNexstar、E. W. Scripps、それにGray Televisionは相次いで、放送局が得る多チャンネルサービス事業者からの再送信料は大きく増えるとの予想を発表した。再送信料が増える理由としてGrayはBally Sports等の地域スポーツネットワーク(RSN)の破綻を上げている。GaryはRSNが放送して来た試合は地上波で放送されるようになり、地上波の価値が高まると述べている。Grayによると多チャンネルサービス事業者が支払っている再送信料の22%は地上波、10%はRSN、残りは多チャンネル向けネットワークが受け取っている。RSNが破綻し、地上波局のスポーツ放送が増えることで、RSNが受け取っていた再送信料は地上波に流れることになる。Grayによると、RSNの取り分の半分が地上波に行くとして、再送信料は23%増え、年間$30億の増収になる。
なぜ、広告無しプランが値上げするのか
SVODサービスの広告無しプランが相次ぎ値上げされている。Disney+は$11から$14、Huluは$15から$18になっている。Netflixのスタンダード・プランは$15.45で据え置きだが、プレミアムは$20から$23になる。値上げされているのには2つの理由がある。1つは、広告付きプランと広告無しプランのARPUに差が出ているからである。広告付きサービスがローンチされた時点では、広告付きプランは広告無しより、$3程度安く設定された。しかし、広告からのAPPUは$3以上になっている。ARPUの多い広告付きプランの価格を標準にし、広告付きプランが値上げになる。現在の広告無しと広告無しプランの価格差は$6程度になっている。最も差があるにはHuluで、広告無しは$18、広告付きは$8で$10の差がある。