アメリカの地上波放送局とネットワークは広告収入以外に多チャンネル事業者からの再送信料を得ている。Disney等のネットワーク事業者は多チャンネル向けネットワーク、それにネットワーク所有の放送局の再送信契約をまとめて行う。ネットワーク事業者が求める契約は「全部かゼロ」で普通で、4大地上波ネットワーク、あるいはESPN等の主要なネットワークの再送信をしたければ、視聴者が少ないネットワークとも契約しなければならない。これによりネットワークは契約額を増やしてきた。
ストリーミングはTV視聴の50%以上
Nielsenから7月の放送視聴時間が50%を割ったとの報告があったが、Nielsenのデータは放送を媒体ではなく、サービスとして見ている。例えば、vMVPDでの視聴はストリーミングでなく、チャンネルにより、地上波、あるいは多チャンネルの視聴に含まれている。また、多チャンネルサービス事業のSTBでのストリーミング視聴はストリーミングではなく、その他に含まれているので、テレビ視聴媒体としてストリーミングがどの程度になっているのかは分からない。Inscapeの「Inscape Input Viewing Trends: Q2 2023」によるとテレビ所有世帯におけるストリーミングでの視聴は54%で半数を超えており、多チャンネルが37%、ゲーム機が5%で、地上波の直接受信は4%で最下位になっている。
CTV広告の課題
InscapeによるとCTVでのストリーミングの視聴時間は放送の視聴時間を超えている。しかし、CTV広告はまだその規模には達していない。eMarketerによると2023年のCTV広告の規模は$251億で、これは$613億の放送広告の40%程度でしかない。視聴時間では放送を超えているが、CTVの広告収入は半分にも達していない。
3社がJICのカレンシー資格を得る
これまでの放送広告のカレンシーであったNielsenのC3/C7は9月に始まった2023/2024年の放送期が終了した時点でリタイアになる予定である。次のカレンシーはパネル調査も使うが、基本はスマートTV等から得るビッグデータを使い、マルチプラットフォームに対応する。ネットワークはNielsenの調査にエラーが出、また、視聴環境にマッチしないままであった理由は独占環境が原因していると考えており、今後は複数のカレンシーが存在し、競争がある状況を求めている。
FCCがやっと5人目の委員を得る
上院議会はFCCの5人目の委員としてアナ・ゴメズを任命した。バイデン大統領は空いている5人目の座にジジ・ソーンを押していたが、共和党の賛成を得ることが出来なかった。これでやっと、民主党からの委員が3人になり、ネットワーク中立性規制を含め、民主党の施策を推し進めることが可能になる。FCCは早速