なぜ、SVODコンテンツを減らすのか
Warner Brothers Discovery(WBD)は昨年から(HBO)Maxのコンテンツを減らしている。番組のパージは今でも続いており、5月だけで87タイトルがMaxのライブラリーから取り除かれた。WBDだけでなく、DisneyもDisney+とHuluからコンテンツを削除しており、同社は今期に$15億の減損処理を行う。
SVODサービスのコンテンツは多いほど良く、Disneyを含め、コンテンツ事業者はこれまでの配信契約が切れるのを待ち、ライブラリーを増やしてからDTCを開始した。しかし、現在は逆の動きが起き、コンテンツ事業者は番組をライブラリーから削除し始めてる。これは、資産の有効利用とコスト削減のためである。
4大ネットワークのFASTチャンネル
放送視聴者が減り、FASTサービスの利用者が増えている中、4大地上波ネットワークのABC、CBS、Fox、NBCもFASTチャンネルの提供を始めている。FASTに最も熱心なのはFoxである。Foxは映画スタジオ、スポーツとニュース以外の多チャンネルネットワークをDisneyに売っており、SVODを提供するのに十分なコンテンツがなく、Direct-to-Consumer戦略はFASTのTubiに賭けている。Tubiは最初はAVODであったが、リニアチャンネルを加え、現在は200以上のFASTチャンネルを配信している。
CNNの衰退
Warner Brothers Discovery(WBD)のニュース専門チャンネルのCNNを救うためのCBS Newsからヘッドハントされ、CEOに就任したクリス・レヒトは就任13ヶ月で辞任した。WBDのマネジメントはCNNが視聴率を落としてる理由はリベラル化しすぎたためと考え、中道の報道に戻ることを彼に命じた。しかし、CNNの視聴者は増えるどころか、さらに減っている。MediaRadarの分析ではCNNの今年のQ1の広告収入は$3.12億で、前年同期の$5.15億から39%も減少している。視聴者数では5月12日にはNewsmaxにも抜かれ、4位の転落した。5月12日のプライムタイムの視聴者はNewsmaxが35.7万人、CNNが33.5万人であった。タッカー・カールソンの解雇に反対しているトランプ支持者がFoxをボイコットし、Newsmaxの視聴が増えたとは言え、24時間ニュースチャンネルのパイオニアであるCNNには、Newsmaxに抜かれることは大きな衝撃であった。
利用しているビデオサービスの数が減る
視聴者が利用しているビデオサービス(多チャンネルサービス、vMVPD、AVOD、SVOD、FAST、TVOD、地上波)の数は選択肢が多くなると共に増えてきた。Hub Entertainment Researchの調査では2019年は3.7個であったのが、Disney+、HBO Max等がスタートした2021年には5.7個になり、FASTがポピュラーになった昨年は7.4個に増えた。しかし、2023年の調査では6.4個に減っている。