2023年の予想

放送の衰退は2023年に加速をするであろう。既存の多チャンネルサービスへの加入者は2023年末には6000万世帯程度に減り、世帯普及率は50%を割る。多チャンネルサービスに加入する理由の1つはHBO等の有料チャンネルであったが、Direct-to-Consumer化により多チャンネルサービスに加入することなく視聴が出来る。ニュースもFASTの登場で多チャンネルサービスに加入する理由ではなくなっている。スポーツが残っているが、これも多チャンネルサービスへの加入無しでも見ることが可能になっている。アメリカのプロ・サッカーのMLSはESPNからApple TV+に移り、NFLの試合もNFL+とNFL Sunday Ticketで多チャンネルサービスを使わずに視聴が可能になる。

HBO Maxの作り直し

HBO Maxは有料チャンネルのHBO、その他のWarnerMedia(現在のWarner Bros. Discovery)のコンテンツをDirect-to-Consumer(DTC)として配信する目的で2020年5月に開始した。スタート時にWarnerMediaのCEOとして就任した元Hulu CEOのジェイソン・キラールはDTCのコンセプトを忠実であった。HBO MaxにはTV番組だけでなく、Warner Brothersの映画もあり、販売/配信には第三者を使わずに、完全に消費者に直接的に提供するサービスであった。だが、Discoveryとの合併で会社はWarner Bros. Discovery(WBD)となり、CEOに就任した元Discoveryのデイビッド・ザスラフはキラールのHBO Maxを崩し、作り直しを始めている。

ローカルニュースはFAST利用を増やす

ドラマがオンデマンドでの提供になっても、ニュースとスポーツはテレビ放送の重要なコンテンツであると言われてきた。しかし、コードカッティングは続いており、既存型の多チャンネルサービス加入世帯は6840世帯(53.2%の普及率)に減っている。vMVPDが増えているが、1450万世帯(11.3%)で、既存型サービスの減少を埋めるてはいない。地上波放送を受信する世帯も増えているが、1870万世帯(15.3%)で、2021年から10.9%増えただけに過ぎない。

不調な広告付きNetflixのスタート

11月3日に開始した広告付きのNetflix Basic with Adsは広告無しのBasicより$3安い、月額$7で提供されている。広告料金は$55から$65と言われており、Upfrontでの広告料金の$45より3割も高いが、広告主の期待は高かった。しかし、約束した加入者数を満たすことが出来なく、返金を行っているとDigidayが報道した。